【―空奩―】
七織色─NANAORISHIKI─ ──先端の見えない糸で、世界は繋がっている。 幾重にも重なり合った其等は刻々と変化し、様々な表情を創り出す。 淡い色のようで。 粗い色のような。 虹の色のようで。 鈍の色のような。 ──先端の見えない糸で、僕等は繋がっている。 さて、これから僕等はその糸を、 何色の言葉で紡ぎ往くのか。 ……。
君が正しい刻、 君は世界に独りの赤子だ。 産まれて間もない幼い概念kotoba 君では君自身を護れない。
名人の手順は時間をかけてさえ、誰にも真似する事が出来ない。 何故ならば其れは多くの場合【間違っていて】 ……にも係わらず、相手の息の根を止める。
虐める側が理由を晒し、 虐められっこが結果を出す。
久々に爆笑した。 激し過ぎて逆に鈍い、この痛みに気付いて、 それでも異なった可能性を考えたことがないのはおそらく、 おそらく、 本物の彩を、この眼に刻んできたと言えるからなのだろう。 無色なのではない。 透明な、彼女を視て思う。
『ヒロインが居れば、そりゃ勇者にだってなれる』
10月12日着の或るメールを保護から外した。 そのメールは過去、最も大切な物の1つだった。 保護から外して暫くした後、現在の彼氏からメールが届いた。 容量の関係上、最早上書くことでしか内容の保存が出来ない私の携帯は、 本人の断りも無く、ごく当たり前に、最も日付の古い文章を消去した。 そうして私はかつて宝物だった1行の想いを、永遠に失った。
家族を事故で失った某社員が、1週間振りに出社してきた。 彼はいつもより声を張り、顔に笑みを張り付かせていた。 その奇妙な明るさは背後にあるどうしようもないほど深く、 暗い虚ろな感情を浮かび上がらせてはいたが、 我々は彼に対し笑わなくても良いとは、到底云えなかった。 おそらく今、 その表情を失ったなら、彼に取り得る思考は、もう、無い。
岸壁から景色を眺めた。 その望みを唯抱きたくて、 腕を広げ、 地を蹴ったのだ。
したり顔で物を語る時、 君は物の本質より遅い。
嘘が悪いのではない。意図が悪いのだ。
終焉[オワリ]たいなら、 妄執[マホウ]を使え。 根源[イタミ]を越える、 熱動[イノチ]を熾せ。
抑制に極力を注ぎ、 けれど眠りから醒めた水を留める事は出来ず、 石は溢れ出し、 何れ匣の中身を失う。 十日前の、[minazokomaeno,] 流転物語。[ruten_butugo.]
《回顧録》 感謝をしない。 反省もしない。 彼にあるのは、唯…… ――[hizu]んだ後悔だけだ。
同意されたいだけならそう言え。 自分の世界で充分だとそう言え。
停滞に慣れ憤る事を忘れた生は、 最早、命とは云えない。
戦力ってのは必要だろう。 唯、ソレを使う場面というのは既に後手なのだと思う。 病気になってから抗生物質を打つようなもの。 より重要視されるべきは予防だ。
一人殺したら殺人犯。 十人殺したら殺人鬼。 百人殺したら殺戮狂。 千人殺したら天災で、 絶滅させたら無知だ。 数は人を英雄にはせず、 現実味を、人から奪う。
前線に思想は要らない。 唯、正しくあればいい。 もし君が正しく在りたいのなら、 如何なる位置に在ろうと、 意志は未だ前線に居なければならない。
日常を識ることが出来たなら、 後は自身の選択をするだけだ。
―藍―        ―果実変答―