【―果実変答―】
南国の果実の中に、 君が居るという事実を識って、 そのありふれた報せに僕は、 愕くほど胸を詰まらせた。 動悸・息切れ・眩暈がする。 けれど、漢方で治るような病ではないだろう。 原因は明白。 外的ストレッサーの影響で、ストレス反応を起こしているだけだ。 この症状を、 人は確か■と呼ぶ。 これはそれだけの話で、 続きを紡ぐ言葉は無い。 ……君は、四角の答えに変を用いた。 それを観て、僕は笑って、笑って、笑って、 息を吐く時に堪らず、空の様な雫を零した。 ……君は、僕等の答えに変を用いた。 そうして唯一人の、稀人は―― ――きっと病から、僕を救った。
【―存在継続―】
群青の帳が明ける刻、 秋風を掴みに、堤防へと足を伸ばした。 ふとした間隙に歩みを止め、 瞳を中空へと向ける。 空色の概念を想い出す。 君の、存在を想い出す。 終わりはいつも、何処か寂しい。 けれど、 それを内封した続きが在る事を識っている。 刻まれた創に縁って。 さぁ、行こう。